アキザキヤツシロランの花粉をちっちゃなハエが背負う

2016.09.30 07:19|オニノヤガラ属

2015/9/30 の記事を改めて掲載しました。

 
 アキザキヤツシロランの花にカメラを向けていると、中から ちっちゃなハエが出てきた。その背中には花粉塊を背負っている。
 ゴマ粒よりも小さな花粉塊であっても、このハエ(ショウジョウバエの一種らしい)にとっては、大きな荷物である。とてもじゃないが、飛び立つことはできない。側の落ち葉の上に、しばらく止まっていたが、やがて何処かへ消えた。
 別の花へ行けば、受粉が行われるだろう。ランにとってはメデタシメデタシである。しかし、ハエのほうにはなんの報酬があるのだろうか。
 花粉塊を背負ったハエは飛べない。遠くへは行けないから、近くの花へ行くことになるだろう。そうすると自家受粉でないにしても、近くの花どうしで交配することになる。
 種子を遠くの仲間の所に飛ばすことができれば、長い目で見れば、広い範囲で遺伝子を交換することができる。結実したら、花柄が急速に伸びて30cmほどにもなるのは、その為だろう。


アキザキヤツシロラン 地中より現る

2016.09.29 16:27|オニノヤガラ属

2015/9/28 の記事を改めて掲載しました。

 
 四国には、ヤツシロラン類が3種あって、春にはハルザキヤツシロランが、秋にはクロヤツシロランと、ここに載せたアキザキヤツシロランが咲く。
 3株写っているが、お判りだろうか。この地味な花は背景に溶け込んでいる。人目を引くような、華やかさや色気がまったくない。
 生えている場所も「お花畑」ではない。ここは、川の側の竹林で、増水の時に流れてきた落ち葉や枯れ枝が溜まっている。ゴミ捨て場で、蚊が襲来してくるところを住処としている。
 アキザキヤツシロランは人を歓迎しないように見える。  

博士の愛したジョウロウホトトギス

2016.09.17 09:43| 山野草

2012/9/27の記事を再度掲載しました。

 ジョウロウホトトギスは9月下旬から10月上旬が見ごろだと思いますが、 2011年9月23日、撮影 2011年9月23日、撮影 名付け親の牧野富太郎博士は、その由来を牧野日本植物図鑑に、次のように書いています。
和名上臈杜鵑ハ初メ土佐横倉山ノ産品ニ余ノ命ゼシ和名ニシテ其花上品ニシテ美麗ナレバ此名ヲ得タリ、 上臈ハ宮中ニ奉仕セシ貴婦人ヲ云ウ。
 学名は、Tricyrtis macrantha Maxim. です。Maxim. はロシアの植物学者マキシモヴィッチです。 牧野博士は、標本をロシアへ送り、マキシモヴィッチが新種として発表した。当時の日本では、牧野博士といえどもそれだけの力がなかったということでしょう。
 しかし、その後、牧野博士は、ヤマトグサを Theligonum japonicum Okubo et Maxino として発表し、 学名をつけた最初の日本人の栄誉を得ました。 (連名 Okubo は、元老院議員であった大久保三郎ということです。)  

 今年(註 2012年)は、「牧野富太郎生誕150年」ということで、たくさんの行事がありました。
4月には、その一つとして、記念切手が発行されました。これには、 ガマズミ、ジョウロウホトトギス、ヒメキリンソウ、ホテイラン、コオロギラン の5種の、博士の描いた標本が載っています。 記念切手の元になった標本画 記念切手の元になった標本画
 発行後まもなく、この中のジョウロウホトトギスが話題になり、地元新聞にも載りました。 天地逆さまではないか、という声が上がったというのです。 この花は茎が垂れ下がって、下向きに咲くはずだ。上向きに咲くことは決してない。 日本郵便のミスではないか、という訳です。
 しかし、すぐに博士の描いた標本画が忠実に印刷されていることが明らかになりました。
 この標本画の印刷は、牧野植物園内の売店でも売っていますから、私も一度は見たことあるはずですが、 その時は、特に奇異な感じ受けませんでした。 しかし、言われてみると、確かにおかしい、不自然だと思います。
 「石灰岩の岸壁で発見した」と博士が書かれているように、 岸壁の高い所から茎が垂れ下がって、その先端から数枚の葉の腋に、ひとつずつ花を付けます。 その花は、筒状で、重量感があって垂れ下がっています。 岸壁の下の平らな地面に生えていたら、茎ははじめは立ち上がりますが、 途中から曲がって、花のつく当たりの茎は下向きになっています。

 茎が下向きに垂れるのは、ジョウロウホトトギスに限ったことではありません。 ホトトギス(種としての)が立ち上がっているのは、あまり見かけません。 ヤマジノホトトギス ヤマジノホトトギス ヤマジノホトトギスは、斜面に生えた大きな株の茎は垂れ下がるが、平地のものや小さな株は立ち上げる傾向があるようです。ヤマホトトギスは、たいてい立っていますが、この種が斜面に生えているのは、まだ見たことがありません。
 茎が立ち上がるかどうかは、その種としての特質だけでなく、生えている場所が平地であるか、斜面または崖であるかなどの条件が影響すると思います。
 しかし、茎の向きがどうあっても、「ジョウロウホトトギス」と名のつくもの以外のホトトギス属は、花は上向きに咲き、平開しています。 平開せず筒状になって、垂れ下がるのは、ジョウロウホトトギスだけです。

 天上の、植物学の父は、下界の騒々しさを如何思し召しや。

 付記:  問題の標本画は、日本植物志図篇(明治21年発行)の最初のページに載せられています(その時点では彩色されていない)。
 そのずっと後(昭和15年)に出版された、牧野日本植物図鑑のジョウロウホトトギスの項を見ますと、 「(前略)茎ハ撓曲シテ懸垂シ、(略)花ハ葉腋ニ出デテ下垂シ(以下略)」と書かれています。 この記載の側の図は、茎(上部だけ)は下向きに、花ももちろん下向きに描かれています。 ただし、この作図は、博士自身によるものか、別人の作図なのか、はわかりません。









赤い花なら曼珠沙華

2016.09.13 19:07| 草の論理 人の屁理屈

2011/10/3の記事を再度掲載しました。

 彼岸のころ、野を真っ赤に染めるのがヒガンバナ、又の名を曼珠沙華。他にも死人花、幽霊花、毒花、痺れ花などなど。子供のころ、「シイレー」と言っていたような記憶があるが、このたぐいでしょうか。
   ヒガンバナは普通、実を付けないのですが、まれに結実することもあるそうです。なぜ結実しないかというと、ヒガンバナが3倍体だからだという。この花はとうの昔、中国から渡ってきたと言われています。そして、原産地の中国のは、すべて2倍体で3倍体はない。日本ではすべて3倍体。そこで、ある学者は「3倍体は日本で生まれ、もとの2倍体は消滅した」と推測しているそうです。
 しかし、「中国で生まれた3倍体のヒガンバナを日本へ持ち帰った」と推測した方が、もっと無理がないように思います。日本で3倍体が生まれるのであれば、中国で3倍体が生まれったていい。中国には3倍体がないというが、日本で消滅したのなら、中国でもその可能性はあるし、広い中国のどこかに残っているかもしれません。
 遣唐使が船に積んで命がけで日本に持ち帰る物品を選ぶとき、並みのものよりは一番際立った品種を選ぶはずです。それが3倍体だった、と推測あるいは空想しても良いではありませんか。



ガクナンまたはオオミヤマウズラ・・・学名はまだない

2016.09.12 07:06|シュスラン属

2015/9/18 の記事を改めて掲載しました。

 
   ここのガクナンは昨年、初対面した。今年も無事に花を咲けせていた。
 昨年見た別の場所のガクナンは、林道沿いに十数株はあったと記憶しているが、ぜんぶ無くなっていた。ミヤマウズラに比べても、このガクナンが上等という訳でないと思うが、より珍しいといえば手を出す愛好家もいるという。(でも今の私は視力が落ちているから、眼鏡を変えたら、来年は見つかるかも知れない。)
 道中、心配しながらたどり着いたこの場所では、昨年同様に花を見ることができた。

 愛好家がガクナンと呼んでいたこの花は、ミヤマウズラとは別種であると、学者が発表した。和名はオオミヤマウズラと名付けたが、正式な記載ではないから、学名はまだない。学名の発表を待ち続けて、もう6・7年は経ったのではないか。




アキネジバナ 10数株咲く

2016.09.09 07:25|ネジバナ

2015/9/24 の記事を改めて掲載しました。

左は普通のネジバナ、右がアキザネジバナ 左は普通のネジバナ、右がアキネジバナ

 
 先日、アキネジバナが二株並んで咲いているのを紹介しましたが、こちらでは、十株以上が咲いてる。
 ちょっと山奥の車道脇の崖で、あまり日当たりの良くない場所。近くにはコクランやミヤマウズラがあっても おかしくない。 どうもアキネジバナはこんな場所がお気に入りのように思われる。
 普通のネジバナが6・7月の夏に咲くのに対して、アキネジバナは秋に入ってから咲く。開花時期が違うだけのネジバナの品種とされる。形態の違いはないそうである。両方を並べてご覧に入れますから、じっくりご検討ください。




このミヤマウズラ 花15個も

2016.09.06 19:45|シュスラン属

 

 このミヤマウズラは、花を15個も付けている。
 友人は、車を走らせながら車窓から、見つけたから、その立派さも想像できるでしょうか(友人の動体視力にも拍手)。
 日本のラン ハンドブック ① 低地・低山編 を見ると、ミヤマウズラは「花序あたり7ー15個を一方向に偏ってつける」と書かれている。そうすると、このミヤマウズラは規格外ではないが、上限いっぱいと言える。





コオロギラン 「2輪同時」はラッキー

2016.09.05 21:04|コオロギラン
 

2013/9/2 の記事を改めて掲載しました。

最初にお断りしておきますが、この2枚の写真は今年撮ったものではありません。2007年9月11日の撮影です。

4つの花(蕾~果実)をつけている。 1番目は果実になっている。2番目が開花している。3番目は蕾で次に咲く。4番目の蕾は非常に小さく開花しないかも。 2つ同時に開花しているのは珍しい。2つ同時に開花しているのは珍しい。

 今年も横倉山とそのほかの2つの山へ行きましたが、まだ1枚も開花したコオロギランの写真はものにしていません。(1輪だけは見ましたが)
 あまりにも長い晴天のせいで、地面が乾ききっているのが原因だったと思います。前の土曜日から雨が降り続いて、大地もうろおって草木も元気を回復していますから、これから出てくるコオロギランは花を咲かせてくれるだろうと期待しています。

   コオロギランは貧弱な株でも必ず1つは蕾をつけます。このランは葉もあり光合成はするでしょうが、茎葉に費やすエネルギーのほうが、光合成で作り出すエネルギーより大きいのです。地下で菌の力を借りて十分な養分を貯めてから、その養分をつかって、花を咲かせて実らせタネを撒くために地上に出てくるのです。
 元気なものは4つの蕾をつけます。5つあるいはそれ以上の蕾をつけたのは、これまで見たことがありません。
 コオロギランは下から上へ順番に花を咲かせます。左上の写真の場合、一番最初に咲いた花はもう果実になっていて、2番目が今ちょうど開花しているところです。
  3番目は蕾ですが、もう咲く準備ができています。最後の4番目ですが、この蕾はあまりにも小さく(肉眼では見えないほど)、おそらく花を咲かせる力はないでしょう。
 このように、同時にいくつもの花を咲かせることはありません。が、これには例外もあるようで、私がここ10年間に撮りためた写真の中に2株だけ開花した2輪の花をつけたのがありました。その一つが下の写真です。よほど気象条件が良くて、タイミングも合わないことには、「2輪同時」を見ることは難しいでしょう。




ムカゴサイシン 今の姿は

2016.09.03 20:08|ムカゴサイシン

2013/8/21 の記事を再度掲載しました。

14枚の葉っぱが見える。 14枚の葉っぱが見える。   これはムカゴサイシンの今の姿です。14枚の葉っぱが写っています。
 6月下旬に果実がタネを撒き消えていくのと入れ替わって、葉が出てくる。だから花が咲いている姿と、このように葉っぱをひろげている姿を一枚の写真に収めることは不可能です。
 地下には球茎がありますが、これがムカゴにたとえられて和名の一部になっています。一つの球茎からは一つの葉っぱが出ます。その球茎は地下で繋がっているかもしれませんから、ここに14株あると言って良いかどうか。
 ムカゴサイシンの花の写真は、良いのをとるのはなかなか難しい。開いてくれない。花弁の赤紫の模様を見せてくれるのはご機嫌の良い時だけ。花期が短いかく、蕾かと思っていたら果実になっていたり・・・
 その点、葉っぱの時期のムカゴサイシンは全部にピントが合って写真になります。また、良く目につきますからきっちりマークしておいて、来年再訪してみてください。
 きっと花が見られるはずです。




コオロギランは杉林がお好き

2016.09.03 13:41|コオロギラン

2015/9/3 の記事を改めて掲載しました。

 
 コオロギランは杉林がお好き。このことは前にも、何回も言ってきた。
 杉の落ち葉の中にしか生えない、と書いた。
 数年前に、杉の木が一本もない山にコオロギランが生えているのが発見されて、杉の落ち葉の中にしか生えないというのは、言い過ぎだったということが判った。しかし、四国にある7カ所ほど(私が知っている範囲で)の自生地のうち、この一か所のみである。
 だから、コオロギランが杉と相性が良いことには変わりがないと思う。
 とくに、四国では杉林が多い。戦後の食糧難を抜け出すと、国策として、田畑を潰して杉を植林した。それが50年ほどたって、丁度コオロギランの住処として最適になったのかもしれない。


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Author: hisa
“ 梅雨時に逆さ傘 ”

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