

カンランにはなかなか出会えないのです。花が咲いているカンランとなると数十年前に一度だけ見たことがあります。しかし、株だけなら今でもたまには見ることができます。
花がないから「カンランだ」と言っても説得力がイマイチですが間違いありません、断言します。シュンランは葉の縁のぎざぎざが見ても判るし、触るとザラザラしますが、カンランの方はほとんどありません。カンランの葉は全体として滑らかで、たおやかで、しなやかで・・・一目見て感じるものがあります。ひとことで言えば女性的です、対するシュンランは男性的。
カンランは海岸に近い山を自生地とすることが多いのですが、開花時期には海上の船にまでその匂いが運ばれてきたそうです、大昔の話ですが。いまは秋のカンラン展示会場でその香りを経験できます。
植物の私生活(デービット・アッテンボロー著、山と渓谷社発行)
に「人類を雇った植物」という項目があって、稲や小麦は人類を使ってその種を地球上の広範囲に拡大してきた旨書かれています。バナナもそう、動物では羊や牛も・・・ カンランもその一つと言えるかも知れません。