クロムヨウランは咲かない

2017.08.20 05:18|ムヨウラン属

2014/8/7 2014/8/11 2014/8/12 2014/8/13 2014/8/19

 クロムヨウランの開花を期待して山へ通った頃があった。7月17日に始まり8月19日まで、8日も行った。
 車で半時間ほどもかけて、蚊に刺されながら、よくも頑張ったものだ。
それだけ、ぱっと開いた花を一目見て、カメラに収めたいとの、欲望が強かったわけだ。

 しかし、今は、開花は望まない。「クロムヨウランは、開花せずに、結実する」と教わったからだ。 むしろ、花が咲いていないのを確認して、「これがほんとのクロムヨウランだ」と安心する。
 「クロムヨウランは開花せずに、結実する」と書かれたのは、澤完元高知大学助教授である。 稀に、開花する株があるが、これは変種のトサノクロムヨウランであるとされた。
 だから、8日通って、一輪も開花しなかった株こそが正真正銘のクロムヨウランだということになる。
 クロムヨウランの原記載には「花ハ正開セズ、花被ハ相接シテ円筒状ヲナス」とある。
澤先生の説は、この原記載を根拠としている。

 残念ながら、トサノクロムヨウランが一般に認知されていない。
Ylistで検索してもヒットしない。
高知県植物誌(2009年)を見ても、項目として掲載はされているものの、 「クロムヨウランと区別することは難しい」とそっけない。
「開花せずに結実する」ものを開花するものとを区別するのは、素人でもできる。 ルーペがなくても、一目で一目で判る特徴ではないか。

 もっとも、「クロムヨウランは開花せず・・・」とすると、 立派に開花した写真をクロムヨウランとして載せている、すべての図鑑はどうなる。
 




タグ:クロムヨウラン 8月

クロムヨウランを訪ねて

2017.08.17 07:44|ムヨウラン属

 
 クロムヨウランの自生地を訪問した。 ここは、2009年の夏から毎年のように来ているが、 今年は出来が良くて、8株ほど確認できた。その内、3株を紹介する。
 「花が咲いていないじゃないか!」とお叱りを受けるかもしれない。 ご覧のように、蕾と果実ばかりで咲いた花が一輪もない。 そんな花が咲いていない株を、何も選んだわけでない。 8株すべてが一輪も咲いた花をつけていない。

 クロムヨウランは「開花することなく、結実する」と 澤完氏(もと高知大学教授、故人)は書かれておられる。 ここの、8株はそのことを実証しているのであって、「我こそはクロムヨウランなのだ」と主張している。
 花の写真を撮りに来られる方々は、ガッカリするであろうが、・・・
 もし、どうしても咲いたのを見たいと仰るなら、変種のトサノクロムヨウランを探し求めることだ。 しかし、これは四国では稀にしか見ることができない。
参照: 咲くはトサノクロムヨウラン




タグ:クロムヨウラン 8月

咲くは、 トサノクロムヨウラン

2017.08.03 08:58|ムヨウラン属

2010/8/17 の記事を改めて掲載しました。

 近くの里山のクロムヨウランへは、2004年から今年まで7度の夏を通ったのですが、一度も花を開いたことがありません。夜明けの早朝から昼過ぎまで一時間おきに訪問したときも、成果はゼロ。別の場所も4箇所ほど行きましたが同じことでした。
 そのクロムヨウランが「咲いている!」という友人からの電話で、1時間も車を走らせて、8時過ぎに憧れのクロムヨウラン開花の前にカメラをすえました。 咲いた!トサノクロムヨウラン咲いた! トサノクロムヨウラン

 ところで、「クロムヨウラン Lecanorchis nigricans は花を開かない。花を開くのはその変種のトサノクロムヨウラン Lecanorchis nigricans var. patipetala (新種)だ」ということが30年も前に発表されているのでした。その方は今は故人ですが、澤完もと高知大学教授で、クロヤツシロランを新種発表して有名ですが、「トサノクロムヨウラン」の名はほとんど世間に知られていません。少なくても私が知ったのは近ごろです。
 両種の違いがいくつか列挙されていますが、その一つ「クロムヨウランは開花することなく結実する。トサノクロムヨウランは花は平開ないし半開し、クロムヨウランのように未開花のまま結実することはない。」というのは実感できますが、その他は正直わかりかねます。 近くの里山で7度の夏、
一度も花を開かなかった。
近くの里山で7度の夏、
一度も花を開かなかった。

 ムヨウラン属は、種によって花の開き方に違いがあるように思えます。ウスギムヨウランやエンシュウムヨウランはちょっと開いて唇弁の先端部を覗かせます。ムヨウランは比較的良く開き、ときには平開に近い状態を見せます。ムロトムヨウランは花茎の下から上へ順番に開き、同時に2つ咲くのはまれですが、「トサノクロムヨウラン」もこの点同じです。

 花がぱっと開いた写真を撮りたくて右往左往、朝の暗いうちから薮蚊の襲来を恐れず日参したりしますが、ランは人を歓迎して開くわけではないことは確かです。じゃ何で開いたり開かなかったりするのか、不思議です。
とくにクロムヨウランとトサノクロムヨウランのように、形態的にはそんなに違いがない?のに、自生地も格段の差がある訳でもないのに、開く開かないが分かれるのか、不思議です。
 クロムヨウランが花を開かないのは、開く必要がないからかも知れません。まだ蕾のとき内部で自家受粉すれば、何も開くなど余分なエネルギーを使うことはありませんから。何十年か何百年かの遠い将来、あるいは来年にも、他家受粉する必要が起これば、ぱっと開くかも知れません。その時を待ちましょう。

 今年2016年にはいって、ラン科植物と菌と関係を解明する本が出版された。
一つは、5月に出版された 森を食べる植物――腐生植物の知られざる世界 で、もう一つは、8月出版の ランの王国
 どちらも、豊富な写真と素人(私)にも理解しやすいように工夫されているように思う。
 (下記の画像をクリックすれば、より詳しい内容が判ります)




タグ:クロムヨウラン 8月

 咲かないクロムヨウランこそ本物!?

2017.08.02 05:00|ムヨウラン属

2015/3/12 の記事を改めて掲載しました。

左=クロムヨウラン、右=トサノクロムヨウラン  
 澤完氏(もと高知大学助教授、故人)が1981年発行の高知大学学術研究報告の 高知県中部のラン科植物 の中で、 クロムヨウランについて「開花することなく結実する」と書いておられます。
 しかし、手元の図鑑 カラー版 野生ラン(家の光協会出版) には大きく開いた花をつけたクロムヨウランの写真が載っています。そして「花はおそらく晴天の日、朝に平開する」と記されています。
 ホームページやブログなどに載っている写真も立派に花を咲かせたクロムヨウランがたくさん載っていて、固い蕾のままのは見当たりません。
 澤先生の説に従えば、これらはすべてクロムヨウランとは違うものだということなってしまう。

 「クロムヨウランは開花しない」という澤先生の書き方がおかしいのではないか?
 この疑問をある研究者にぶっつけたところ、「間違っていない」と言って見せてくれたのが、下記の資料です。 これは 植物学雑誌(THE BOTANICAL MAGAZINE) 第45巻(昭和6年)で、この中で本田正次氏がクロムヨウランを新種として発表しています。 ラテン語はその原記載であり、日本語のほうはその解説ともいえるものですが、これも本田氏が書いたものです。  花が開花するか、否か、肝心なところは、原記載には contigua, tubuliformis と書かれています。
contigua は英語のcontiguous(接触する/接近した)、
tubuliformistubuli「管状の」と tubuliformis「形をした」)との合成語です。
 日本語のほうは正開セズ、花被ハ相接シテ円筒状ヲナスと書かれていますが、当然ながら原記載と一致します。

 こうして原記載にまでさかのぼってみると、澤先生の、クロムヨウランは「開花せず」は順当な結論だと思えます。

 澤先生は、平開するほうを トサノクロムヨウラン Lecanorchis nigricans var. patipetala と命名しました。
 学名はイギリスのキュー植物園のホームページにも載っています。

 

 しかし、日本では広く知られているとはいえません。無視されているといっても良いでしょう。 あの YList を検索してもこの名前は出てきません。




タグ:クロムヨウラン 8月

クロムヨウラン、やっぱり咲いていない

2017.07.28 06:43|ムヨウラン属

2016/7/28 の記事を改めて掲載しました。

 
 花が咲いていなかたら、ガッカリするのが普通だが、クロムヨウランに限っては「やっぱり咲いていないな」と、平常心でいられる。
 この場所も、車で半時間もあれば来られるので、2009年から毎年通っている。今年は株数が多くて、10株はあったが、膨らんだ蕾は付けていても、咲いているのは一輪もなかった。
 地面に落ちた蕾を拾い集めて見たが、開いてから萎んだようには見えない。蕾のまま開かずに落ちたに違いない。

   高知県では、クロムヨウランは花が開かないのが普通で、むしろ、これこそがクロムヨウランのほんとの姿だ、というのが常識(?)。たまたま、花が開いているのが見つかったら、幸運としか言いようがないが、それは変わり者で、普通のクロムヨウランとは違う変種だと考える。
 澤完先生(元 高知大学助教授、故人)は、花が咲くのは、変種のトサノクロムヨウランと名付けられた。
 


 最近、ラン科植物と菌と関係を解明する本が出版された。一つは、5月に出版された 森を食べる植物――腐生植物の知られざる世界 で、もう一つは、8月出版の ランの王国
 どちらも、豊富な写真と素人(私)にも理解しやすいように工夫されているように思う。
 (下記の画像をクリックすれば、より詳しい内容が判ります)



タグ:クロムヨウラン 7月

クロムヨウラン どうせ今年も咲かないでしょうけど

2017.07.27 07:58|ムヨウラン属

2010/7/22 の記事を改めて掲載しました。

 ここのクロムヨウランはどうせ今年も咲かないでしょう、と思いながらも、やっぱり来てしまいました。
どうせ今年も咲かないでしょうけど
 自生地は、子供の頃、遊んだこともある所で、周りは杉に植林されましたが、この一画だけが里山の風情を残しています。ここに多いときは20株ぐらいのクロムヨウランが現れます。 数年前からここに通うのですが、一度も花が開いたのを見たことがありません。 
クロムヨウランは「花はおそらく晴天の日、朝に平開する」と、家の光協会出版の「野生ラン」に書かれています。 幸い自生地が近くでしたので、5・6回以上もカメラを持って通ったのですが、蕾の写真しかものにできませんでした。
 どうも日照り続きであまりにも乾燥していたのが災いしたのではないか、と思った年もありましたが、雨もふり地面はたっぷりと水分を含んでいた年もダメでした。
 早朝にも行きました。本命の10時前後にも、もちろん行きました。午後に行ったこともあります。残るのは、夜の暗闇だけです。
 しかし、落ちている花を拾って観察しますと、一度開いてから萎んだようには見えない。硬い蕾のまま落ちたようです。それにいくつかの株では、果実もつけているのです。とすると、ここのクロムヨウランは、閉鎖花のまま自家受粉しているのだ、と観念しました。

 昨年そう観念しましたが、やっぱり今年も来ました、クロムヨウランさん。



タグ:クロムヨウラン 7月

12年間、一度も花を開かなかったクロムヨウラン

2017.07.18 07:17|ムヨウラン属

2015/8/9 の記事を改めて掲載しました。

12年、一度も花を開かなかったクロムヨウラン

開きそうにもない固い蕾 根元に、固い蕾が4個落ちていた。

 
 家から、5分足らずで行きつける所に、クロムヨウランの自生地がある。 近いから花の時期には、毎年必ず見に行く。
 今年も行ったが、ご覧の通り。固い蕾が一個とまだこれから大きくなりそうな小さな蕾が4個ほどついていた。根元には、開花せずに蕾のままで落ちたのが、4つ集まっていた。
 ここの自生地を見つけたのは2004年で、以来訪問を欠かしたことはない。今年で、12年通ったことになる。
 初めの4・5年は、見事に開花した花を見たくて、写真に撮りたくて通った。クロムヨウランは、気難しくて「晴天の日の早朝に開花する」とかいろいろいうから、何日も続けて一時間おきに行ったこともあった。
 しかし、最近の数年は、花が開かないことを確認するのが目的で訪問し、写真を撮っている。そして、お前こそが、ほんとのクロムヨウランだ、と言い聞かせている。


タグ:7月 クロムヨウラン

ムヨウラン 花三色

2017.06.14 07:40|ムヨウラン属

2016/6/14 の記事を改めて掲載しました。


 ムヨウラン属は、四国に、9種類ほどあるが、いちばん綺麗に花を咲かせるのは、このムヨウラン(狭義の)だと思う。
 ほかのは、クロムヨウランのように絶対咲かないと構えて、蕾のまま落ちてしまうのもあれば、ホクリクムヨウランのように、花がひとつ、下向きに僅かに開くだけといった具合である。
 ムヨウランは、平開とまではいかないが、ほかのに比べると、大きく開く。何よりも良いのは、すべての花が一斉に咲き揃うことだ。
 ムヨウランは、花の色にも個体によって変化があって、多彩だ。  写真下左端がふつうの標準的な色で、次が赤みかかった色、右端は非常に紫色が強い。



タグ:6月 ムヨウラン

ムヨウランとホクリクムヨウランと

2017.06.01 16:57|ムヨウラン属

2016/6/1 の記事を改めて掲載しました。

ムヨウラン(左)とホクリクムヨウラン(右) ムヨウラン(左)とホクリクムヨウラン(右)

ムヨウラン(左)とホクリクムヨウラン(右) ムヨウラン(左)とホクリクムヨウラン(右)

 
 ムヨウランとホクリクムユランとを比較してみた。
 今どき、四国で咲くムヨウラン属は、この他にエンシュウムヨウランとウスキムヨウランがあるが、ムヨウランとホクリクムヨウランはどちらかというと大型の部類に入る。また、両者は独立種とする説もあれば、変種という者もいるし、品種で良いじゃないか考える者もいる。
 初めのうちは、説明を受けても両者の相違点がつかめなかったが、毎年のように観察していると、おおよその区別はつくようになった。といっても、どちらとも判別しがたい個体もあるが。
 前者(ムヨウラン)は、花が良く開いて、全部が咲きそろうが、後者(ホクリクムヨウラン)は、花がほとんど開かないし、開いたとしても一つだけ、ほんの少しだけ開き、花はすべて下向きになっている。
 また、ホクリクムヨウランの花は、花茎の頂部に集まっている傾向がある。



タグ:6月 ホクリクムヨウラン ムヨウラン

エンシュウムヨウラン、ぼつぼつ咲く

2017.05.24 09:55|ムヨウラン属

2016/5/24 の記事を改めて掲載しました。

 
 ムヨウラン属には、花をきれいに開かないものが多い。
 エンシュウムヨウランのその一つで、咲いても平開することはない。せいぜい「」の字の状態になれば好いほうである。また、一つの花茎の蕾が同時に開くこともない。幾つかある蕾の一つが咲いておれば満足しなければならない。

タグ:5月 エンシュウムヨウラン

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Author: hisa
“ 梅雨時に逆さ傘 ”

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